半導体は、一社だけでは作れない
半導体企業という言葉から、チップを設計して工場で製造し、完成品として販売する一社完結型の会社を想像しがちです。しかし実際の産業は、設計ソフト、回路IP、材料、製造装置、受託製造、検査、パッケージ、テストなどに細かく分業されています。
そのため、企業を比較するときは売上規模だけでなく、バリューチェーンのどこに位置し、誰へ何を提供しているかを見る必要があります。以下では本サイトの7区分に沿って、上流から順番に整理します。
用途・要件
最初に決めるのは、どの装置に使い、どの程度の性能・消費電力・価格を目指すかです。AIサーバー、自動車、スマートフォンでは必要な演算能力、耐久性、電力効率が異なります。ここで定めた要件が、設計方法、製造プロセス、パッケージ方式まで左右します。
対応する企業マップを見る →設計・IP
回路設計会社は、EDAと呼ばれる設計ソフトと、CPUや通信機能などの設計IPを組み合わせてチップを設計します。工場を持たず設計に集中する企業がファブレスです。設計データはフォトマスクへ変換され、製造工場へ渡されます。
対応する企業マップを見る →ウエハー・材料
回路を形成する土台がシリコンウエハーです。製造にはフォトレジスト、特殊ガス、洗浄薬液、CMP材料など、非常に高い純度を求められる材料も必要です。材料の微細な不純物や品質差が歩留まりへ影響するため、安定供給と品質管理が参入障壁になります。
対応する企業マップを見る →前工程
前工程では、成膜、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、洗浄、イオン注入、熱処理、平坦化を繰り返し、ウエハー上へ微細な回路を積み上げます。先端半導体では工程数が多く、装置、材料、工場運用の組み合わせが製造競争力を決めます。
対応する企業マップを見る →検査・計測
製造途中の欠陥、線幅、膜厚、材料状態を測定し、問題があれば条件を修正します。微細化が進むほど見つけるべき欠陥も小さくなるため、高精度な光学、電子線、データ解析が欠かせません。検査は単なる合否判定ではなく、歩留まり改善のための情報源です。
対応する企業マップを見る →後工程
完成したウエハーを個々のチップへ切り分け、基板へ接続し、樹脂などで保護します。近年は複数のチップを近接配置する先端パッケージが性能向上の重要手段になり、ボンディング装置、パッケージ基板、OSATの役割が拡大しています。
対応する企業マップを見る →テスト・最終製品
最後に電気的な動作、速度、消費電力、耐久性を確認し、基準を満たした製品が出荷されます。AIアクセラレーター、メモリー、パワー半導体、センサーなど、製品によって試験方法と販売先は異なります。
対応する企業マップを見る →企業比較は「同じ工程」だけでは不十分
同じ前工程に属していても、露光装置と洗浄装置では製品も競争相手も異なります。逆に、一社が複数工程へ製品を提供することもあります。本サイトでは、主工程とサブ工程を分けたうえで、主要製品と顧客市場が重なる企業を直接競合として整理しています。
まず製造フローで全体の順番をつかみ、次にカオスマップで同じ中工程の企業を確認し、最後に企業ページで直接競合と隣接企業を分けて見ると、業界構造を立体的に理解できます。